京都精華町(けいはんな研究学園都市)、川崎キングスカイフロント、鶴岡サイエンスパーク ーー ここ半年のうちに私が撮影で訪れたいわゆるサイエンスシティと呼ばれる地区だ。
京阪奈研究学園都市は規模が大きいので、ここでは取り上げないで、川崎キングスカイフロントと鶴岡サイエンスパークを比較することで、両者の特徴の違いを明確にする。また、意外な共通点も見てとれる。
川崎キングスカイフロントとは、羽田空港に多摩川を挟んで隣接するいすゞ自動車の工場跡地に、行政主導の国家戦略特区の一つとして、主にライフサイエンスや環境分野での、世界最高水準の研究開発から新産業創出するを目指すオープンイノベーション拠点だ。
オープンイノベーションの簡単に書かれたパンフレットがあった。
羽田に車で10分というのは、旅行者にとってはこの上ない立地条件だが、研究者にとって、どうなのだろうか?
一方、鶴岡サイエンスパークとは、2001年慶應義塾大学先端生命化学研究所の誘致に成功し、それを核にして民間の街づくり会社ヤマガタデザインが加わり、世界初の蜘蛛の巣繊維を開発したSpiberなど、地域密着型ベンチャー企業の拠点になっている。
ヤマガタデザインのウェブサイトショウナイズカンが地域密着性をよく表している。
ヤマガタデザインが企画運営する建築家坂茂氏設計の、サイエンスパークの水田に浮かぶホテルが9月18日グランドオープンする。
共用棟の蛇腹構造の大屋根が目を引き、明るくて軽快な印象をうける。宿泊棟はシンプルな躯体の木造2層、木製の柱とオフホワイトのせっ器質タイルとで部屋が作られ。地下水を利用したヒートポンプエアコンが導入されている。
坂茂氏ならではの紙管を使ったチェアが置かれ、ベットのヘッドレストには紙管が設けられている。共用棟では、ベンチ、パーティションにも紙管が使われ、坂茂ワールド全開といった雰囲気だ。
一方、川崎キングスカイフロントには東急REIホテル6月1日オープンした。世界初の地産地消の水素エネルギー利用ホテルとなった。使用済みのプラスチックから水素を作り、電気、熱源に利用し、ホテル全体のエネルギー消費の3割を水素で賄う予定らしい。川崎の工場地帯ならでは地域循環型の水素エネルギー利用計画だ。
鶴岡では慶応大学の先端研が核になって発展した。川崎には慶応大学の殿町タウンキャンパスが設けられた。